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山本 充(筑摩書店)/東京芸術劇場『cocoon』

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ひめゆり学徒隊に想を得た今日マチ子の漫画を藤田貴大が迫真の演出で舞台化した本作で幾度となく響く「誰も死にたくなんてなかった」という言葉、「死にたくなかった」のはしかし死んでしまった者たちであり、その無念をもう一度舞台上にあらわすことは、能がそうであるように演劇の本質なのだとしたら、一〇年代においてこれほどその核心に迫った舞台はないだろう。一方で、そのような抽象的な芸術の形式のみならず、歴史的にも、沖縄が、(それこそ非業の死を遂げなければ)名も無き民衆が、現在に至るまでずっとその声を無きものとされているなかで、二〇二〇年の再演はコロナ禍により延期となったが、今後、何度でも繰り返されるべき傑作である。
 
分野:演劇
推薦者:山本 充(筑摩書店)
作品名:東京芸術劇場『cocoon』
 
撮影:飯田浩一