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谷垣内 和子(日本音楽研究家)/藤本昭子『第17回 藤本昭子演奏会』

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藤本昭子は、いま最も注目される地歌箏曲の演奏家である。江戸時代に誕生した地歌箏曲の基本の演奏形式は、箏と三弦(三味線のこと)の弾き歌いである。盲人音楽家が専業としたために、繊細で緻密な表現を発達させた。藤本は、とくに微妙な陰影に富む三弦の響きと広い音域をカバーする艶やかな声の表現に実力を発揮する。
コロナ禍の影響下に開催された第17回演奏会は、亡き人を偲ぶ「残月」と秋の情趣を描いた「八重衣」というシンプルな構成。どちらも屈指の名曲として知られ、曲ごとに最適な助演者を配し、演奏する喜びとともに緊張感に満ちたステージを現出させた。ことに満94歳の米川文子を箏の助演に迎えた「八重衣」は、尺八の善養寺惠介の好演も相まって、歴史的名演ともいうべき完成度を示した。その成果が、同年度文化庁芸術祭大賞受賞につながった。

 

分野:伝統芸能
推薦者:谷垣内 和子(日本音楽研究家)
作品名:藤本昭子『第17回藤本昭子演奏会』