よみもの ごっこめし#4/オフィス鹿『山犬』 2021.03.15 よみもの 1008 「ごっこめし」とは、作品から妄想した料理をごっこ遊びのように作って食べる企画です。 フード・テキスト・写真:土谷朋子(citron works) 学食の「ザ・カレーライス」 玉ねぎベースのカレールー 白米 ソーセージ カレー、不思議な食べ物だ。 カレーはインドからイギリスを経由して我が国に伝わってきたいまや国民食と言ってもいい存在である。 専門店の数も、レトルトの販売数だって鰻上りで、スーパーでのカレーのコーナーはもはや本棚かと見まごう品揃えだ。もうすでに懐かしいがカレー曜日なんて言葉もあった。 カレーうどん、カーレーヌードル、カレーせんべい。みんなのカレーに対する想い。そのメジャー感。 学食の定番「カレーライス」はもちろん人気メニューに決まっていて、学食のある学校に通っていた人なら誰だって食べたことあるだろう。一回くらい、いや正直何度も。 劇中でも「なんかクセになる味」と言われていた、学食のおじさんが変な歌を歌いながら作っていたという「あの」 スパイスを? カレー粉を?フリフリしながら、大きな肉の塊をすごい勢いで断裁して作っていたという「あの」 他のメニューがなくてカレーばっかり仕込んでいたよねと笑い合っていた「あの」 彼女たちにとって大切な歌が生まれたという時にもみんなで食べたという「あの」 友達と一緒にワイワイしながら食べた色々な思い出と共にある「あの」味は不意に食べたいと思い出す味なのである。 たとえ、そこに入っていたものがなんであったとしても。 大量に作る学食のカレーは大きな鍋で。 まずはすりおろした沢山の玉ねぎを。 人参じゃがいもと香りを出すためにニンニクと生姜も同様にすりおろして。 それらを炒めに炒めたら、具がないのは寂しいので別途スライスした玉ねぎじゃがいもも加えてさらに炒め、続いて塩胡椒して小麦粉をまぶした「肉」に焼き色をつけ、カレー粉を加えてさらに炒める。 トマト、コンソメのスープを加えて煮込み、足りない味を塩胡椒その他で整えたら出来上がり。 「食べたいですかー僕のカレー」 聞いたことのある歌が聞こえてきそうな思い出のカレーはきっと何倍も美味しい。 作品名:オフィス鹿『山犬』 脚本・演出:丸尾丸一郎 原案:入交星士 音楽:オレノグラフィティ 上演年:2019 劇場:サンシャイン劇場 ©和田咲子 あらすじ: 「私たちが埋めたタイムカプセルを一緒に掘りに行きませんか?ハマダマコト」 同窓会の前日に届いた一通の手紙。 誰もその名前に記憶がないが10年ぶりに再会した元コーラス部の生徒たちと先生は、手紙に従い、学校の裏山へと向かう。 掘り出したタイムカプセルの中には、骨とハマダマコトの名札が入っていた。 しかし3人は、何者かに襲われてしまう。 目が覚めたのはどうやら裏山にある山小屋で そこで何者かに監禁され始まったのは記憶探しのサバイバルゲーム。 「シヌキデオモイダセ」 誰かが過去を思い出す度、配給される食糧……それはまるで懐かしい学食のカレー。何度も食べたはずの思い出の味に似た…。 やがて剥き出しになっていく狂気の中、果たして彼女たちは解放されるのか、それとも恐怖と空腹に支配されてしまうのか。 よみものオフィス鹿, ごっこめし, 山犬 舞台作品の配信権利処理の注意ポイント ごっこめし#6/玉造小劇店配給芝居vol.24『お正月』