ぎきょく

島田三樹彦/砂の時間
分類:演劇
作家名:島田三樹彦
作品名:砂の時間
上演年:1998
作品概要:高山晴子は乳癌の手術を受けた後、夫の健一を説得して、二人で海辺の貸別荘へ転地療養に来ていた。しかし貸別荘の経営者は、健一が学生時代に愛していた館山里子であることを隠していた。健一と里子は同じサークルの「サルトル研究会」に入っていたのだ。二日後の昼過ぎ、里子が挨拶に立ち寄った。晴子は36年振りに再会を懐かしむ二人の様子を、部屋の中からそっと伺っていた。晴子は里子の従兄の藤田から健一が里子を愛していたことや、里子が未婚で、36歳になる娘の理恵がいることなどを聞き出していた。藤田は大学でも、勤め先の新聞社でも健一の先輩だったのだ。その日、別荘では夕食会が開かれた。その席で、過去に繋がりを持つ四人は、さりげない会話のうちに互いの心中を探り合うのだが、なぜか里子だけは堅く心を閉ざしたままだった。男と女の錯綜した心の軌跡を辿りながら、男と女の生に対するずれを描いた作品である。
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