ぎきょく

稲田真理/留鳥の根
分類:演劇
作家名:稲田真理
作品名:留鳥の根
上演年:2011
作品概要:都会へ出るには、いくつもの山を越えて行かなければならない、養殖業が盛んな町。交番に勤める巡査・錦戸は、町民の為に何ができるか何ができないのか、無力感にさいなまれながら日々悩んでいる。深夜の交番に、両手に脱いだ靴を持ち、女・ユカリが飛び込んでくる。入水自殺を試みたらしいユカリに、錦戸は猥談で励まそうとする。その行為はなぜかユカリを傷つけ、ユカリは帰っていく。夫婦がいる茶の間。経営している養殖のハマチが高値で売れず、生活資金に困窮している。資金援助も断られ、忍び寄る不安を感じる夫婦。町議会議員の赤松が、堆肥袋を持ちゴミ拾いをしている。赤松は町の人の役に立つことが誇りだと考え、活き活きした議員活動を行っている。町議会議員にもてあそばれる女。養殖業がうまくいかず貧困にあえぐ夫婦。熱心な選挙活動をしながらも偽善的な町議会議員。自己確認と応えてもらえない矛盾が悲劇を生み、一方で日々の生活は進んでいく。
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