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えいぞう

チェルフィッチュ/『三月の5日間』リクリエーション

えいぞう

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分野:演劇

                 

上演団体:チェルフィッチュ

https://chelfitsch.net/

作品名:『三月の5日間』リクリエーション

上演年:2017

作品概要:日本現代演劇の潮流を変えた代表作,完全なる”再創造” 90年代生まれの新キャストとともに放つ,集大成にして新たな挑戦が “演劇”をふたたび覚醒させ,”私たちの現在”を浮き彫りにする 2003年3月,アメリカ軍がイラク空爆を開始した日を含む5日間の東京の若者達の日常を描く「三月の5日間」。その言葉と身体の関係性を軸にした非類なき方法論によりそれまで当たり前とされてきた劇構造を根本から覆し,後に続く若手作家達に大きな影響を与え,日本現代演劇史の転機として語られている。遠くの戦争と無関心な若者の日常を描いた初演から十数年が経ち,若者像や社会情勢,情報伝達の速度,戦争との距離感も大きく変化し,劇中で描かれる人間像や状況はもはや「時代劇」となった。物語内容はそのままに,当時と現在の時間の行き来への意識を促すべく書き換えた戯曲,現在性をまとった若い俳優の身体,パフォーマンスとの関わりによって限りなく意味を変容させるトラフ建築設計事務所による舞台空間が,同時代の切実な人間像や容赦のない社会のありさまを鮮明に浮かび上がらせる。何が変わり,何が変わっていないのか。 今回のリクリエーションでは,舞台上の言葉・身体・空間は,すべて観客が〈想像〉を描くための触媒であるという演劇の本質的な構造を徹底的に追求した。演出の岡田が力を注いできた,〈想像〉を駆使した演出方法の極地と言ってよい。さらにこれまでの幅広い創作によって進化させてきた,ノイズがざわめくような言葉と身体性を発揮するスタイルと,贅肉を削ぎ落とすようなミニマルなスタイルとが絶妙に混ざり合い,次の新たな展開への芽吹きともいえる新境地を見せる。

Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載

     

配信可能作品

     

クレジット:(宣伝写真)小林健太,(宣伝美術)牧寿太郎