
横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]/コーヒー
分野:舞踊
上演団体:横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]
作品名:コーヒー
上演年:2018
作品概要:2002年の初演で世界に衝撃を与えたNibroll『コーヒー』を16年ぶりに横浜ダンスコレクション2018のオープニング・プログラムとして再演。映像作家・吉開菜央が,再創作の過程,オーディションで選ばれたダンサーや関係者へのインタビュー,公演本番などをドキュメンタリーとして映画化した作品を公開。
[作品ノート]
人が社会と無縁ではいられないように,この作品もまた当時の社会や時代背景の影響を強く受けている。初演が行われた2002年は世界的な不況が始まった り,9.11があったり,テロとか戦争が私たちの日常 にまで食い込んできたりして,輝かしい未来だったはずの21世紀が何もいいことないじゃん!という 想いと共に始まったばかりの時代である。私たちは20代だった。若かった。作品を発表すれば,支離滅裂,意味不明...そんなふうにあちこちで言われた(それはいまでもあまり変わらない)。それでもあの時あの時代,私たちが経験している今を自分たちに納得させるために何かを表現する必要があった。何が正しくて何が間違っているかなんて,そ の時はわからない。それが今後の人生にどんな影響を与えるかさえも。経験はいつだってそういうものだ。
いま考えてみれば確かに支離滅裂で意味不明だったかもしれない。けれども人と人が向き合う時,そこにはなんの一貫性も整合性もない。誰も合理的で確実な経験なんてしない。人生では原因と結果はいつも結びつかない。だからこそ何かを叫ぶことが必要になってくる。それはいつの時代もどこの場所でも同じだろう。
あれから17年経って時代は変わった。今回の出演者たちはあの頃の私たちと同じ世代だ。彼らがこの時代をどうやって生きているのかをこの作品をとおして表現してくれると思う。あの時と同じ衝動で,あの時と違う風景を見たいと思う。
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
配信可能作品
クレジット:(Photo)塚田洋一