えいぞう

ケダゴロ/ビコーズカズコーズ Because Kazcause
分野:舞踊
上演団体:ケダゴロ
作品名:ビコーズカズコーズ Because Kazcause
上演年:2021
作品概要:日本のダンス作品で、政治や社会を題材にしたものは少ない。しかしケダゴロを率いる下島礼紗は、前作『sky』でカルト教団が起こした地下鉄サリン事件などを描き、海外でも高く評価されてきた。
本作は実在の殺人犯・福田和子がモチーフになっている。福田は顔の整形を繰り返しながら約15年間にわたり警察の手を逃れ、時効成立直前に逮捕され世間を騒がせた。
本作ではダンサーが天井に張り巡らされたパイプに飛びついて逃げ回り、身を隠す。三次元的な動きは驚異的である。
本作中では繰り返し「重力」について語られるのだが、それが「どれだけ逃げても、のがれられないもの」の象徴だとすると、それは「罪の意識」だろうか。福田は若い頃、強盗事件で服役していたとき、刑務所内で組織的に行われた強姦事件の被害者でもあった。それは福田が警察から逃げる原動力だったかもしれない。本作中の二人の男性ダンサーは、「重力」同様のがれられない「男性中心の社会」や「暴力」の象徴にも見えてくるのである。
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
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