
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/薄い桃色のかたまり
分野:演劇
上演団体:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
作品名:薄い桃色のかたまり
上演年:2017
作品概要:舞台は,東日本大震災から6年が経った福島。避難指示区域では,イノシシが我がもの顔に出没するようになっていた。添田家では,ある日長男の学がイノシシに襲われた。それを助けたのが復興本社に勤めるハタヤマ。学の父・添田良二はハタヤマに感謝したいと家に招き,ハタヤマの固辞にもかかわらず,妻のパエリアをご馳走することに拘る。
一方,線路が見える丘の上には,毎日,若い男がやってきていた。線路も駅も流されたあの日,男は恋人が乗ってくる列車を見るためにその丘に立っていた。また,東京から北へ向かう列車には,恋人を探しに行くミドリが女たちと共に乗り合わせていた。ミドリは恋人に行き会えるのか。震災で失われた線路の復旧を目指す男たちの思いはどうなるのか……。解決の糸口が見えない状況下,探しあぐねる登場人物たちの夢と現が交差し,その向こうに見えてくる情景が美しい。作・演出の岩松了がさいたまゴールド・シアターに作品を提供するのは3作目。出演は,さいたまゴールド・シアターのほかに,さいたまネクスト・シアターの俳優たち。岩松は,本作で第21回鶴屋南北戯曲賞を受賞している。
さいたまゴールド・シアター
彩の国さいたま芸術劇場において,故・蜷川幸雄が芸術監督就任時に,「年齢を重ねた人々が,その個人史をベースに,身体表現という方法によって新しい自分に出会う場を提供する」ための集団作りを提案した。2006年4月,1,200名を超える応募者の中からオーディションで選ばれた55歳以上の48名で発足。2007年6月の第1回公演『船上のピクニック』(作:岩松了)以降,気鋭の現代劇作家による書き下ろし作品など公演を重ね,海外公演も経験し国内外から注目された。しかし,平均年齢80歳を超えるメンバーの高齢化とコロナ禍の活動の困難さから2021年7月,年内での活動終了を発表。12月の『水の駅』を最終公演として15年の活動を終えた。
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
配信可能作品