
合同会社メメントC/「私の心にそっと触れて」ー愛は記憶されるのか?ー
分野:演劇
上演団体:合同会社メメントC
作品名:「私の心にそっと触れて」ー愛は記憶されるのか?ー
上演年:2021
作品概要:高齢化社会の難治の病であるアルツハイマー病。病気の進行により,記憶によって形作られる個人のライフヒストリーが不確かとなり,パーソナリティーまでも変貌する時,愛はどう記憶されるのだろうか? 本作はアルツハイマー病で記憶を失っていく医師と,消えゆく過去に翻弄される家族の物語である。魂と心の深淵をドラマによって探る濃密な舞台作品。綿密な取材と圧倒的な描写で病の世界に漂う主人公の心象風景と,その修羅の家族ドラマを描きだす。舞台作品として高評価を受けた本作を4K,6Kカメラで収録し,劇場の空気を忠実に表現。外山誠二と劇団民藝の白石珠江,駒塚由衣らの円熟の演技が結実し,ドキュメンタリーに比されると評された舞台作品。
あらすじ
脳神経科の医師・清棲滋は,ふとした骨折での入院を機に,そのまま退職を余儀なくされる。既に第一線を退いていた彼の引退は,さほど注目もされず,退院後,家族らが滋の家へ集まり,退院と退職,古希のささやかな祝いの宴をする。そこから,妻・清棲知佳と滋,そして娘夫婦の掛け違いが始まるが,マイペースの滋に周囲は振り回される。知佳と滋の生活は,ストレスフルなものとなっていく。都心に出かけるといっては財布を忘れ,携帯を無くしてトラブルだらけの滋。認知症の診断を勧められても取り合わない滋の前に,過去の記憶から様々な人物との関係性,トラブルが滲み出てくる。その後,知佳と滋の夫婦関係,病状は坂を転げ落ちるように悪化していく。滋の言動や行動には一貫性がなくなりつつあり,それを性格の特性と思い,見て見ぬふりをしてきた知佳は,現実を直視できない。介護負担に崩壊する家族関係の中,周囲やケアワーカーらの支えによって,夫婦はつながりを取り戻す。そして過去の心の旅路を辿りながら,滋は自分の心の深淵へと降りていく。最後に愛は残るのか?
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
配信可能作品
クレジット:(デザイン)ちばゆうすけ 人形:井桁裕子 (撮影)萩原美寛