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えいぞう

メジャーリーグ/白石加代子「百物語」第十八夜

えいぞう

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分野:演劇

                 

上演団体:メジャーリーグ

https://ml-geki.com/

作品名:白石加代子「百物語」第十八夜

上演年:2001

作品概要:第十七夜,第十八夜は続けての上演で,その5本の作品はほとんど同時に稽古をした。
そして一番時間を割いたのは「累」である。
前に「江島屋」をやった時も痛感したのだが,円朝の作品と言うのは,声に出して初めて,文章のうまさ,話の運びの見事さ,人物のリアルさが見えてくる。幽霊は弱った神経が作り出すものという文明開化の時代の怪談話,そして真景,つまりリアリズムを基調とした怪談を円朝は目指したのだが,そういう意味では今の時代から見ても,実にリアルである。
はっきりいって今のテレビドラマなどよりずっとリアルだ。「累」の中でいくつかの殺人が起きるが,殺人犯は一人もいない。ちょっとした行き違いや誤解が錯綜して,アクシデントを起こしてしまう。それはどんな人間も持っている弱さである。
リアルな怪談,そういう意味で円朝を超える作品は未だにないといってもいいのではないだろうか。
「関節話法」は数多くの筒井作品の中でも,出色である。「わたし嫌ですよ,この作品だけは嫌。だって読むだけでもう笑っちゃって先に行かないんだもの。どうかこれをやらせないで。それにこの作品,全然自信がありません。『五郎八』の場合はまだ少しは自信というか,何とかその作品に立ち向かう勇気と言うか,そういうのがあったの。でも,これは嫌。どうしたらいいかわからない。やる前からギブアップ,ほんともう勘弁してよ」という加代子さんの強烈な抵抗から始まったが,何故か,鴨下さんはこの作品の稽古はそれほど熱心ではない。
「『累』の稽古ばっかり。そりゃ『累』は大変な作品で稽古は一杯しないといけないのはわかります。でも『関節話法』だってやっていただかないとわたし出来ません」
そうこうしているうちに本番に突入。
結局は大受けでしたけれど。
第十七夜,第十八夜はかなり長い期間の全国ツアーを行った。
そしてこの百物語シリーズは,恐い話という枠を超えて,新しいエンターテインメントとして多くのお客さんに認知されたように思う。
(百物語シリーズ総集編パンフレットより転載)

Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載