
マームとジプシー/しゃぼんのころ
分野:演劇
上演団体:マームとジプシー
作品名:しゃぼんのころ
上演年:2010
作品概要:(パンフレットより)
「しゃぼんのころ」
本作品は,前作の『たゆたう,もえる』までの試みとは,たぶん違ってきていて。たぶん,っていうのは,明確に,そう,とは言い切れないって意味で。今までを断ち切って,全く変わって,今に至るわけでもなくて。でも,違ってきているっていうのは,その変容していく様子を,今の自分たちの現場から,どうやら感じることができているからである。
変容していくっていう僕らの今と『しゃぼんのころ』。
『しゃぼんのころ』は中学生たちの三日間の話。
急速にココロとカラダを前進させてゆく中学生。
濃密な時間の中,あの頃の僕や,僕の周りの人たちは,どう変わってきたのか。あの人との距離はどうだったのかとか,なんでだろう,なんでだろう,と,やっぱり,今だって,思い出しの作業は果てしなく続いているのだけど,続いていくし,その作業の経過,それそのものが,作品であって,そこを,僕らも,今日ご来場いただいたみなさんも,通過,していくのだなぁ。と,確認もしつつ。2010年代の一年目。もう5月。コドモたちが学校に通ったりしている。相変わらず。
『しゃぼんのころ』に出てくる人物たちの,孵化していく感じ,これはちょっと,マームとジプシーがこれから変容してゆくための,第一歩目だと,僕は勝手ながら考えていて。紛れもなく,この物語は,これから,の話なんだと。
やっぱりでも,思い出しているのは,あの頃。風景が反転して白かったような,あの頃なんだ。なぁ。あぁ。
2010.5.16 藤田貴大
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
クレジット:(撮影)飯田浩一