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えいぞう

マームとジプシー/塩ふる世界。

えいぞう

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分野:演劇

                 

上演団体:マームとジプシー

http://mum-gypsy.com/

作品名:塩ふる世界。

上演年:2011

作品概要:(パンフレットより)
頭がキリキリする,はあ,八月,も,もう中間付近,僕,相変わらず,作品,つくっている,そりゃあ,汗だくになりながら,つくりまくっている,つくって,疲れて,今日もアパート帰る,帰って,部屋で,腐りきっている,ちょっと腐って,復活して,また,頭の中で,また作品,つくる,翌朝,作品つくりに,家を出る,駆け足,で,稽古場,に,向かう,そんなループの中,に,僕はいて,つくるつくる,を,繰り返して,いる。頭,キリキリさせる元凶,は,この作品,塩ふる世界。
この作品,難解。実に,難解。最上級に,わけのわからん,崖の上の際も際で,強風に当てられて,つくっている心地する,マームとジプシー,2011年,夏,の三部作,『かえりの合図,まってた食卓,そこ,きっと,しおふる世界。』の,終着点,これにて,三部作は終わりを迎えるのである,と同時に,マームとジプシーの2011年,後期,は,ここから始まる。僕が,この作品を始点と構えて,ここから先を,展望しているのは,明らかである,宇宙戦艦ヤマトで例えて言うならば,波動砲を打つ,一歩手前みたいなもんである,いや,もう波動砲,打つかもだから,それこそ,構えて見ていてほしいくらいにして,兎にも角にも,僕は,それくらい,この作品に入れ込んで,作り込んでる,っていう,手っ取り早く言うならば,そういうことだ。そういうことだ。
そう,それで,今回,この作品を通して取り組んでいること,とは,こういうことだ。
役者さんの身体が,どう,物語や感情を,recovery(回収)していくか,そして,そのrecovery(取り戻し)したモノを,どう,recreate(改造する)し,空間全体にreturn(返還)していくか。
つまり,僕の頑固な書き物,及び,記憶,をどう,役者さんの身体は,言動と行動を用いて,変換して,僕に,或いは,空間全体に,どう,返してくれるのか。
その作業を,繰り返し,揺さぶることによって,
文字は文字化けして,舞台上に転がりながら存在する言葉たちは,
誰の所有物でもなくなるんじゃないか,
或いは,誰もが等しく共有できる,この場所・土地で,今まさに生まれた,産物・資源(resource)になるのではないか。
そして,それを,空間にいる誰もが,手にとり,口に入れて,咀嚼しだす,という,反応(reaction)をしていくのではないか。つまりつまり,空間にいる誰もが,反応する人(reactor)となるのではないか。
こういった“re”の連鎖を考えて,つくっている,塩ふる世界。
これ,まるで食物連鎖,そうそう,この三部作は,食べ物に纏わる,作品群だったんだよなぁ。
僕は,繰り返す,しつこく,これからも繰り返していく,繰り返し,演劇を稼働させていく,記憶も感情も繰り返し,言動も行動も繰り返していく,繰り返し繰り返し,これからも作品つくっていく,頭,キリキリさせながら,際も際で,繰り返していく。
もう,僕には,それが演劇表現,そのものに思えてしょうがないのである。

2011.8.8 藤田貴大

Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載

     

     

クレジット:(撮影)松本和幸