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えいぞう

阿佐ヶ谷スパイダース/みつばち

えいぞう

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分野:演劇

                 

上演団体:阿佐ヶ谷スパイダース

https://asagayaspiders.com

作品名:みつばち

上演年:2003

作品概要:要するに,此の世は女で廻っている。
故に男が儚く散れるのだと,あるミツバチは云った。

■ものがたり
今から二百年ほど前,江戸湾の先の先に名もない小さな孤島があった。海と大地の恵みを受け,島民は豊かではないが幸せな生活を送っていた。ところがある時,江戸の豪商大島屋が孤島から続く遠浅にその財力を使い人口の島を作った。埋め立てて作ったその島に洗剤の工場を建てたのだ。「驚くほど白く落ちる」というその洗剤は江戸を中心に大ヒット。工場から絶え間なく流れ出る汚水は孤島の沿海を余すところ無く汚染し,強力な廃液はその大地まで食い尽くした。そうとは知らず今まで通り漁をし田畑を耕した島民の多くは不治の病に侵された。辛うじて難を逃れた島民は廃液に汚染されていない大地が残る島の中央部に寄り添うように集まった。そして地中深く伸びた塀を立て,大島屋洗剤工場を憎みつつ,限られた地で貧しくすさんだ自給自足の生活を送っていた。逃げ遅れた島民,病気にかかった島民は肉親であろうと決して中には入れなかった。ただひとつの外界との道は島の裏側にある廃液を逃れた海域に向かう一本の道。週に一度,海女と男がその道を抜け漁に行く。外の病人に気づかれぬよう,漁に出る時の警戒は厳重を極めるのだ。これは,そんな小さな島の閉鎖された村を訪れたある二人の浪人と,閉ざされた村人たちの物語である。

Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載