
特定非営利活動法人ダンスボックス/Mi-Mi-Bi ドキュメンタリー『あたらしい言葉』
分野:舞踊
上演団体:特定非営利活動法人ダンスボックス
作品名:Mi-Mi-Bi ドキュメンタリー『あたらしい言葉』
上演年:2022
作品概要:一言に「障がい者」と言っても,障がいの数,人の数だけ異なる身体性や感覚がある。障がいのある人と無い人とで単純に分けられるようなものではない。初めて Mi-Mi-Bi の練習を見た時に,世間一般で伝えられるような「障がい者」のイメージはなく,内側から見たら単純明快に「私とあなたは違うよね」という至極当たり前なことの中に自分自身も放り込まれていた気がした。
「あなたと私は違う」の中では,障がい者も健常者も,日本人も外国籍もない。皆一様に「違う」のだ。だからこそ私たちは触れ合い会話を交わし,他者を理解しようとする。そのコミュニケーションそのものが Mi-Mi-Bi の練習風景の中に当たり前のように貫かれていた。
例えば,盲者である武内美津子さんの手を持ち誘導する内田結花さんの動きは,寄り添いを表現したコンテンポラリーダンスであるが,同時に舞台を成立させるための現実的な行為であり,社会生活における障がい者に対しての補助行為でもある。これら二つの意味合いが舞台表現を通して同時に起こっている。そこが感動的なのだ。例えば,ろう者の KAZUKI さんに,流れている楽曲の印象や演出意図を,手話を用いて伝える三田宏美さんの動きは,コミュニケーションそのものの存在・身体として舞台上に立ち現れる。そのことに注視した時,私たち人間が,自身の身体や存在を通してすでに何かを伝えて表現しているのだと気づく。
「あなたと私の見えている世界は違う。だからあなたのことを教えて」
これが本作のテーマである。
Japan Digital Theater Archives(JDTA)掲載
配信可能作品